米粉ニュース

米粉でバウムクーヘン 不二商会が店舗づくり提案

【掲載】 商経アドバイス
【掲載日】

2022年8月29日(月)

◎㈱西村機械製作所

 あまたの輸入穀物が値上がりする中、小麦粉に代わる米粉への注目度が高まっている。ここ数年、道の駅や農業法人、コメ業者などが米粉を原料に用いたバウムクーヘンを展開している。カギを握るのが湿式米粉製粉機の開発で知られる㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)と、バウムクーヘン焼成機の販売や店舗設計、商品化など幅広いトータルプロデュースを行う㈱不二商会(神戸市兵庫区)だ。グルテンフリー(GF)ニーズだけでなく、地元産米を使った差別化にも寄与し、全国に取り組みが広がっている。

 不二商会は「克てる店づくりをトータルにご提案します」とうたい、バウムクーヘンの商品開発・製法・レシピ提供、技術指導、商品開発・ブランド化、店舗やPOPデザインに至るまで総合的な店づくりを提案する。バウムクーヘンは家庭用として買われるだけでなく、お土産や婚礼などのお祝い事にもニーズがあり、幅広い価格帯の商品も作れる。

 こうした強みを生かして近年、地元産米を原料に地場の特産品を加えたバウムクーヘンを提供する店が増えてきた。その際に欠かせないのが湿式製粉で製造された米粉だ。

 不二商会・胸永敬文主任は、「薄力粉のバウムクーヘンと比べても、自家製湿式米粉の方が圧倒的多数の人が″おいしい″と評価してくれる」と話す。しっとりした食感やコメのほのかな甘み、口溶けの良さなどが「全く違う」とも話している。

 不二商会と西村機械の接点は、ある道の駅から「地元産米を使ったバウムクーヘンを作れないか」と提案されたことがきっかけだった。この道の駅が湿式米粉に注目していたことから、両社の交流が始まり、西村機械が湿式製粉機「スーパーパウダーミル(SPM)」の小型化に乗り出した。こうして開発されたのが小さな厨房にも設置可能な「フェアリーパウダーミル(FPM)」だ。

 FPMは、平均粉粒30㍈の細かな米粉を安定的に製造でき、デンプン損傷率もわずか3.2%に抑えられる。1時間当たり10㌔以下の小規模製粉も可能だ。90㌢四方の床面と1.3㍍の高さがあれば設置できる。投資額の2分の1から3分の2が支給されるモノ作り補助金や、新規事業開拓の補助金を利用して小資本の事業者でも地域おこしに貢献できる。

 プレーンのバウムクーヘンだけでなく、ユズや抹茶、酒粕、特産品の野菜や果物などを製粉化して生地に練り込んだり、赤米や黒米、低タンパク米で米粉を作るなどバリエーションも多様だ。

 

◎アフターフォロー万全

 不二商会では、バウムクーヘンを導入する事業者とは綿密な打ち合わせを行った上で店舗設計に取り組む。オープン前に3日間、不二商会の工房で研修し、現地に同社社員が出向いてさらに3日間、実地研修を行う。軌道に乗った後にもアフターフォローを行い、新商品を開発する際にも逐一、試食会や研修を行う。

 SPMやFPMを導入したバウムクーヘン店舗は全国に広がっている。FPMは近年、毎年7~8台のペースで導入されている。バウムクーヘンに限らないとはいえ、SPMも今年8月に、奈良県のコメ業者で導入された。地元を盛り上げ、GFニーズにも応えられる事業として関心が高まっている。

 

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