米粉ニュース

各地で米粉事業参入

 

【掲載】 商経アドバイス
【掲載日】

2023年8月28日(月)

 小規模製粉可能な「FPM」

㈱西村機械製作所

 消費者の健康志向や食糧自給などの観点から米粉食品が注目され、パンや麺、洋菓子など新規用途の方向で需要が伸びている。㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)の湿式気流製粉機「スーパーパウダーミル(SPM)」と小型化した「フェアリーパウダーミル(FPM)」は、良質な米粉を製造できることから、全国で導入事例が相次いでいる。

 これまでもSPMは、全国のコメ卸・小売業者や農業法人などから引き合いが多かった。とくにFPMは湿式製粉が可能な小型機のため、道の駅や製パン・製菓業者からのニーズも高まっている。昨夏からの1年間で十数件に納入している。

 ㈱景(熊本市北区)では、4月に Webサイトのグルテンフリーオンラインショップ「農歩屋(https://noppoya.net)」を開設し、全国の登録会員に米粉食パンを販売している。「知ってはいたものの、家族に小麦アレルギーを持つ人からこんなにも喜んでもらえるとは」(同社・山中智広取締役)と、反響の大きさに驚く。アレルギー症状が出なくても体調に不調を感じる人や、国産原料にこだわる人からの反響も多いという。

 増粘剤や添加物は使わず、農家から地元の熊本米を仕入れ、米粉100%で製造する。若干の甘味を加えるために北海道産ビートからとった甜菜糖を加えている。腸内細菌の活性化にも良いという。一番圧搾製法のコメ油や長崎県産海水塩を使うなど、原材料にはこだわっている。今後はキビ糖の使用を視野に入れるほか、コメも農家とともに施肥や土づくり、栽培管理にもこだわってより良い栽培方法を確立していく考えだ。

 徳島県では、学習塾や通信制学校、就労継続支援・福祉施設、訪問介護ステーションなど、幅広く教育や福祉等の事業を展開する㈲アイリストピア(阿南市)が、「子どもの発達障害や不登校なども、根本をたどればすべて“食”に通じる」(延博文社長)として、安心・安全な食材やアレルギー原因物質を含まない食を実現するために米粉に着目した。パティシエとして実績を積んだ職人を新たに雇用し、現在は洋菓子のレシピ開発を進めている。

 地元で無農薬栽培に取り組む農家とも契約済みで、令和5年産米から供給を受けることになっている。販売先は市役所の売店やJA、道の駅などが決まっているほか、カーディーラーが商談の土産品や成約時の引き出物として採用する予定だ。

 試作品を食べたバイヤーらの評判は上々で、「しっとり感が全然違う」「洋菓子を食べたのに、口の中がパサパサしない」という。

 SPMは製粉前に原料米を加水させるため粉砕時の熱を発しない。気流に乗ってコメ粒同士が衝突しあって粉砕されるため、粉砕の衝撃力は軽減されデンプン損傷率も低減される。1時間当たり100キロから1000キロまで処理可能だ。FPMは超高速気流を発生させコメ粒同士を衝突させながら、デンプンの細胞を損なわないように細胞壁を引きはがしながら細かい粒子と分離させる。乾式なら5キロ以下、湿式では10キロ以下でも処理できる。

 いずれもきめ細かい良質な米粉ができる。米粉ならではのしっとり感があり、パンもふっくらと焼き上がる。バウムクーヘンなどのケーキでは、小麦粉ケーキよりしっとり感が好まれることもあるほどだ。

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