米粉ニュース

自家製粉「生米粉」の可能性語る バウムクーヘンで農福連携「ココトモファーム」の事例紹介

【掲載】 米麦日報
【掲載日】

2022年4月20日(水)

◎西村機械製作所・西村社長、自家製粉「生米粉」の可能性語る

 バウムクーヘンで農福連携「ココトモファーム」の事例紹介

 

 13~15日に東京ビックサイトで開催された大規模展示会では、幅広い分野の講師が特別セミナーで講演した。今回は、㈱西村機械製作所の西村元樹社長による「生米粉を活用したグルテンフリー商材で地域活性化」を紹介する。

〈㈱西村機械製作所 西村社長〉

 当社は1934年の創業以来、和菓子や米菓向けの米粉製粉技術を開発してきた。20年ほど前から小麦粉代替用の米粉製粉機の開発に取り組み、湿式気流粉砕機「スーパーパウダーミル」を完成させた。これは中型で製粉工場向けの機種だが、自家製粉のニーズに応えようと5年前に開発したのが小型の「フェアリーパウダーミル」だ。全国から反響があり、約30か所で採用していただいている。特に地方の米どころで、地産地消や6次産業化、町おこしに向けたニーズがあるようだ。また、宮崎県の2つの農業高校でも採用されている。

 今日は、愛知県犬山市の㈱ココトモファームの取り組み事例を紹介する。

 ココトモファームの由来は「ココでトモだちになろう」。多様性の中で互いに支え合える社会を創ることを理念とし、農福連携に取り組む米農家だ。社長の齋藤修一氏は福祉の業態から農業に参入し、障がいのある方を積極的に採用している。愛知県犬山市に約2万6,000坪の田んぼを持っているが、そのほとんどは耕作放棄地や、担い手のいない農家から借りたものだ。

 米作りに取り組むなかで、齋藤社長は米の出口の問題や、農業と福祉の雇用を繋げることの難しさに悩んでいた。そんななか、当社の展示会を見たことをきっかけに、収穫した米を米粉にして商品化することを思いつき、バウムクーヘン作りにたどり着いた。自家栽培の米を当社の「フェアリーパウダーミル」で高品質な米粉にし、最先端のオーブンで焼きあげ、販売する。農業・福祉・工業・商業が連携して誕生したのが「ココトモバウム」だ。

 ココトモファームは、観光名所・犬山城の城下町にお店を展開している。縁結びで知られる三光稲荷神社のお供に、SNS映えする「縁バウム」を売り出したところ、地元の若者を中心に大ヒットした。地元のニーズを的確に捉えた商品で、メディアにも取り上げられた。開業して1年半で6店舗を展開し、年間売上1億5,000万円以上と大成功を収めている。

 バウムクーヘンはパティシエを雇わずに作ることができ、ムダが出ず、作りだめもできるなど、新規参入の方にも取り組みやすい商材だ。

 ココトモバウムは今の時代にマッチしている。美味しさやビジュアルといった従来の食のヒット要素に加え、サスティナブル(持続可能性)であることや、多様化する社会で共生しようという理念が共感や賛同を呼んでいる。地元の米でできたココトモバウムを食べることは地産地消になり、社会貢献にもなる。

 「地域の米粉を活用したい」という場合、パンやスイーツ、麺など色々な商品があるが、中でもスイーツを作りたいというお話が増えている。贈答用や“自分へのご褒美”需要があるからだ。米粉そのものを販売したいなら、委託製粉もしくは中型製粉機「スーパーパウダーミル」を提案している。米粉のパンやスイーツを売りたい場合は、委託製粉か「フェアリーパウダーミル」がお勧めだ。自家製粉にこだわり、生米粉の良さを引き出す商品を開発したいなら、「フェアリーパウダーミル」が適している。玄米、黒米、有機栽培米など、こだわりの米でオリジナル商品を作ることができる。

 自家製粉の優位性は、安心・安全やこだわりを印象付けられることだ。特に米粉の場合は、経営理念やストーリーを伝えやすい。地元の特産物を混ぜてオリジナリティを出し、6次産業化を推進することもできる。アレルギー対応(グルテンフリー)を表示できることも重要だ。

 当社としては、国産の米を普及させるため、製粉技術を通じて米粉の可能性を追求していきたい。そのために、加工業者、流通業者と関係を深め、消費者に積極的にPRする。全国各地の、成功事例を横展開できるような活動も共有していきたい。

 

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