米粉ニュース

第52 回食品産業技術功労賞・米麦日報版 ㈱西村機械製作所「フェアリーパウダーミル」

【掲載】 米麦日報
【掲載日】

2022年12月9日(金)

【商品概要】 「フェアリーパウダーミル」は、高品質な米粉を少量から自家製粉できる小型の製粉機だ。同社は創業以来、和菓子や米菓向けの米粉製粉技術を開発してきた。25年ほど前から小麦粉代替用の米粉製粉機の開発に取り組み、製粉工場向けの湿式気流粉砕機「スーパーパウダーミル」を完成。その後、自家製粉のニーズに応えるべく開発したのが「フェアリーパウダーミル」だ。生産能力は1時間あたり湿式で10 ㎏。平均粒径は50μ~100μを実現している。工場委託が難しい玄米や黒米などにも対応可能だ。また、分解・洗浄が容易で、機械を扱い慣れていない人でも簡単に操作できる。従来機よりも導入コストが低く抑えられることも強みだ。

地域の米を生かして洋菓子やパンを製造・販売したいカフェや道の駅などで導入が進んでいる。「フェアリーパウダーミル」で製粉した米粉は、水分を多く含んだ「生米粉」の状態。製品にした時の「しっとり感」が際立つことが特長だ。スイーツ、パン、麺など様々なメニューに活用できる。

【喜びの声・西村元樹社長】

 このたびはありがとうございます。

我々は25 年ほど前から米の新需要を開拓したいと考え、小麦粉代替用の米粉製粉機の開発に取り組んできました。「フェアリーパウダーミル」は、品質の良い米粉を小量から製粉できることが特長です。お菓子やパンにすると、非常に美味しくしっとりした食感に仕上がります。また、小さく扱いやすいこと、導入コストが比較的低いことも売りです。近年は、米粉のパンやスイーツが日本の食文化に浸透してきました。小麦粉価格の高騰など、米粉を取り巻く環境も以前と変わっています。「地域の米を活用して、何か新しい商品を作りたい」と考えたとき、「フェアリーパウダーミル」があれば洋菓子、パン、麺など様々な商品を作ることができます。今後も、ユーザーが米粉で作りたい最終製品まで見据えたご提案に力を入れていきたいと考えております。

 

【開発苦労話・大西忍本社営業部部長】

 開発でこだわったのは、「簡単に扱えること」「音が静かなこと」です。熟練者でないアルバイト店員でもボタン1つで製粉でき、分解・洗浄も容易です。使う人のことを考えると、静かさも大事なポイントです。また、電気制御で原料投入量を自動調整できることも特長です。米の品質や固さが違っても、一定した品質の米粉を得られます。

開発に着手したのは2015 年です。当時は米粉の認知度が上がりつつありましたが、その出口は少ない状況でした。一方、製粉会社から米粉を購入している洋菓子店やベーカリーからは「コスト抑制のため、店舗で使える製粉機が欲しい」「もっと高品質な米粉があれば」などの声がありました。そんな中で出てきたのが小型製粉機のアイデアです。従来の気流粉砕機を基に、より小型に再設計しました。大阪府立大学に協力を依頼し、離散要素法( Discrete Element Method (DEM)の手法を用い、仮想空間で粉砕ローターの回転数や角度を何度も計算しました。結果、低速回転でも微粉砕となる最適な設定を導きだすことができ、2年がかりで完成しました。

米粉は新しい市場です。機械の開発だけでなく、米粉の使い方などの普及活動も必要です。すでに始まっていますが、製麺機メーカーやベーキングマシンメーカー、厨房機器メーカーと連携して、米粉の販路を拡大する活動にも注力したいです。

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